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2020.05.19 トピックス
国際相続における銀行口座解約1

日本人が海外に銀行口座を残して死亡した場合

 

1 グローバル化に伴って海外で仕事をする日本人が増え、日本人が海外で銀行口座を持つことも増えました。

そのような日本人が死亡して相続が開始した場合、遺族はどのような手続きを行うことが必要になるのでしょうか。

こうした相談や問合せは、ご遺族からだけではなく、相続手続きに関与する税理士、司法書士、渉外事件を取り扱わない弁護士の方から寄せられることも少なくありません。

 

 

2 預金残高を調べることができるか

日本人が日本で死亡した国内案件では、被相続人の預金残高を調べることは全く難しいことではありません。

しかし、海外で銀行口座を残して死亡した場合は、預金残高を調べることは大変面倒であることが多いです。

中国の場合、金融機関によって取り扱いが異なりますので、まずは各金融機関に中国語で問合せをして必要書類や手続きを確認することが必要になります。

経験的には、中国社会における書類を念頭に、身分証明書(パスポート)、相続人であることの証明書、死亡証明、委任状などの提出を求められ、かつ、これらについて公証認証を経ていることを要求されます。パスポートについては公文書ですので、公証人役場においては宣言書という形式の書類を作ってもらいますが、提出先が中国の金融機関ですので、中文で作成する必要があります。そして、金融機関によっては、受任した代理人弁護士本人が身分証明書を持参して窓口に出向くことを求めてくる場合もあります。

近時、中国においては銀行窓口における各種手続きが厳格化しており、中国における中国人の相続の場合でも手続きが面倒になっていますので、国際相続の場合、一層ややこしいという傾向があります。

なお、交渉能力の高い中国律師に入ってもらうことにより、事実上、預金残高を口頭ベースで教えてもらえたりする場合もありますが、必ずしも毎回うまくいくというわけではありません。

海外に銀行口座を持っている人は、遺言を作成し、預金口座についての具体的な情報を家族に予め教えておくという必要性は高いといえます。これをしておかないと、残されたご遺族は苦労をすることになります。

 

3 口座の解約について

海外の金融機関は外国法である日本法のことをほとんど知りませんので、口座解約を求める人物が法律上そのような権利を持つことに関し、弁護士の法律意見書の提出を求められる場合があります。その内容は、準拠法の選択や、日本法を適用した場合の帰結に止まらず、外国法を意識した記述(重婚を認める国があることを前提に、結婚していた人についても他に配偶者がいないことの説明など)が求められることもあります。

特に苦労することがあるのは、提出書面について公証人役場等での公証認証を求められることが多々ありますが、日本の公証人役場で行うことができないような事項(たとえば、公文書の公証)を求められる場合があることです。それが不可能であることや、それがなくても問題がないということについての説明をし、理解を得る必要があります。

書類の記載一つとっても、たとえば、日本における住所の表記(番地、号など)につき、中国にぴったりの概念がないような場合に、どのように中文で標記するか、等々、つまらないようなことで苦労をすることも少なくありません。

書類の翻訳についても、一定の資格を持つ機関や組織による翻訳が求められるという場合があります。

香港においては、口座解約についてわざわざ人民法院に申請する手続きが必要になることもあり、その場合には香港の弁護士の助力を仰ぐことが必要になります。

国際相続の場合、日本国内における相続で銀行口座を解約する場合では考えられないような面倒な手続きが必要になることがある、ということです。

 

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