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2020.05.13 トピックス
国際相続の事例紹介

相続放棄の事案についての紹介

(1)事案
日本に居住している台湾国籍の方が死亡して相続が発生した事案について、死亡した方の中国国籍の子の相続放棄の案件を行った。結論として、日本の裁判所で相続放棄が認められたが、法律関係は複雑である。
(2)国際裁判管轄
このようなケースでは、まず、日本の裁判所に国際裁判管轄があるかどうかを検討しなければならない。家事事件手続法の第3条の11によれば、相続開始時における被相続人の住所が日本国内にあれば、日本の裁判所に管轄権があるとされる。上記ケースでは、死亡した被相続人が日本に居住していて、日本国内に財産があり、また、相続人の一人が日本に住んでいたので、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められた。
(3)準拠法
法の適用に関する通則法36条により、相続は、被相続人の本国法によるとされている。相続放棄も相続の範囲に属するから、相続放棄の準拠法は被相続人の本国法となる。つまり、上記事案では、相続放棄自体が認められるか否か、認められる場合の実質的要件、その法律効果などの問題は、被相続人の本国法である台湾法によって決せられることになる。他方、相続放棄の方式(やり方)は、法律行為の方式の問題であるから、法の適用に関する通則法10条1号ないし2号が適用され、日本法が準拠法となる。
(4)台湾法
上記のとおり、準拠法として台湾法が選択されたので、台湾法を調査し、原文及び日本語訳を付けて裁判所に提出した。台湾民法にも相続放棄の制度があり、その要件、効果は日本法と基本的に同じである(申述期間が3ヶ月という点も同じ)。
(5)方式方式
は日本法によればよいので、相続放棄の手続きのやり方については日本法に従って行えば足りる。
(6)戸籍謄本が提出できない問題について
これは中国人が当事者となる場合にしばしば問題になるものである。言うまでもなく、日本人が日本で相続放棄の手続きをする場合には、必ず戸籍謄本の提出を求められる。しかし、中国ではそもそも「戸籍謄本」というものは存在しない。上記事案も相続放棄の申述人が中国人であったため、この点を裁判所に説明するための上申書を提出した。相続関係を証明するための書類として、このケースでは中国における「出生証明書」という書類を、中国の公証処で公証してもらい、提出した。もちろん、民事訴訟規則138条により、中国語の書証については訳文をつけて提出する必要がある。
(7)所要期間
相続放棄の申述書を提出してから受理されるまで20日程度であった。日本国内のケースに比べて裁判所の検討に若干の期間を要するものと予想されるが、十分な準備を整えて申立てをすれば、この程度の期間で受理されるようである。

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